フラッシュバックに恍惚感を伴うことがある

身体指向の心理療法

フラッシュバックには、恍惚感を伴うことがあります。

トラウマというのは[死ぬかも!]な体験なわけですが、人間は死が迫ってきた時に鎮痛作用をもつオピオイドなどが分泌されるようにできています。ですから、死に直面した時に強烈な恍惚感に包まれることがあります。

そのようなわけで、臨死体験のフラッシュバックは時に強い多幸感を伴って、うっとりするような、存在まるごとくつろぐような体感となってやってくることがあります。私も5年ほど前?に経験がありますが、あれほどのうっとり感は他に類するものはなく、たった1回でしたが、ものすごいインパクトがありました。(当社比、ショートカクテルを10杯あおった時の酔いは、あの恍惚感の10分の1にも及びません。)

私がこの恍惚感を伴うフラッシュバックを体験した時には、そこに耽溺しながらもセラピストとしての自分もわずかながら機能していました。なので、自分の身に何が起きたのか理解して対処することができました。

でももし、フラッシュバックには多幸感や恍惚感を伴うことがある、という事前知識がなかったとしたらどうでしょうか。それを再び味わいたいと、トラウマを再演してしまうかもしれませんね。あるいは、支援者にその知識が欠けていた場合、目の前の人が快方に向かっていると錯覚してしまうかもしれません。

フラッシュバックのもととなった体験は、我々を死に直面させました。でも、手当てさえ誤らなければ、フラッシュバック自体は私たちを殺しません。どんな種類のフラッシュバックであっても、それだけは揺るがない事実です。

フラッシュバックが起きることが悪いのではありません。フラッシュバックは神経系の反応であって、そういう意味では尿意や睡眠欲求と同じです。私たちを生き残らせるための生存戦略のひとつです。害となるのはフラッシュバックそれ自体ではなくて、その意味づけと、そのときの対処です。

大事なのは、
●事前にできる備えをしておくこと。
●フラッシュバックや解離が起きたときには、落ち着いてプロセスしていれば必ず終わることを思い出して現在に留まること。
●ある程度安定化できたら、自分の裁量をこえた部分は誰かの力を借りること。
です。

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