苦しみを【打倒】すべく手を尽くして、尽くして尽くして尽くしきった後にも、残る苦しみがある。
【打倒】の先にあるのは【With】のフェーズだ。
最大の強みや歓びが苦しみを連れてくるのだとしても、生命は続く。
【With】の生命を支えるのは正しく生きることではなくて、自分の物語を紡ぎ、それを生きることなのだと思う。
傷つき、老いながら生きている我々は、常にフェーズの移り変わりと共にあって、節目節目に胆力を試され続けている。
正しさから程遠い自分の物語を、自分に許せるか。 そこに、周囲はどれだけ乗れるか。
どれだけの胆力を保てるか。それが【With】の幸福度を決めるのかもしれない。
そんなことを考えながら見た、セリーヌ・ディオンのドキュメンタリー。
彼女がオリンピックで圧巻の歌声を披露したのは、私がこの映画を鑑賞した直後だった。