食いしばり・エラ張り・顎関節症、気になってませんか?
【噛む】ってそもそも、頭蓋骨に向けて下アゴが上がっていくものなんです。頭蓋骨は動きません。
本来、下アゴは前方に半円を描くようにしてあいたり閉じたりするのです。直線的に真下に向けて下アゴを動かして口を開けようとしてしまうと傷めます。なので、ふだん噛み合わせている位置よりちょっと前あたりが、ご自身の身体的にはしっくりくる場合もあります。
アゴには閉じるための筋肉とぽかんとゆるく開けるための筋肉があって、閉じる筋肉は頭蓋骨と下アゴ、開けるための筋肉は蝶形骨と下アゴをつないでいます。蝶形骨は背骨の上にあって、全身のバランスをとっている大切な骨です。ちなみに背骨の下でその役目をになっているのが仙骨などのいわゆる骨盤ですね。全身の機能と構造を支える大事な骨にダイレクトにつながってるのがアゴなんです。
顎関節というのは、耳の穴のちょっと上、口をあけるとボコッとへこむ部分です。ここがボコッとへこむ時に蝶形骨と下アゴをつないでいる筋肉が繊細に動くんです。両手をあててみると、この部分の動きがカクカクしていたり、左右差があったり、揺れたり、偏ったりしていませんか? ここの動きを指で感じながら、ゆっくり口を開け閉めすると、ご自身の開けかたや閉めかたのクセがわかってくると思います。鏡も使うとさらにわかりやすいですよ。
アゴって頑張るのにも我慢するのにも使うし、話したり食べたり、外界と関わるのにも使いますね。なので、ものすごく負担がかかりやすくて、たくさんの記憶や体験と結びついています。アゴにアプローチして何も出てこない人はいない、というくらいに。逆に、アゴに緊張が残っていることで、「今も頑張り時なんだな」と神経系が判断してしまって、落ち着くことができなくなる場合もあります。
とはいえ大事なのは、ゆっくり優しく扱うことです。アゴに頑張り癖がある人は、その頑張りを勇者の鎧だと思って、いきなり全部ひっぺがさない優しさも持ってあげてくださいね。まずは安全の合図を心身が受け取ってくれてからでないと、「鎧もなしに戦えるか!」と反発されてしまいますから。