トラウマについてNo.9 私たちの覚醒度①

トラウマについて

今日は覚醒度のお話です。覚醒度、と言われてもあまりピンとこない方もいらっしゃるかも知れませんね。

別の言葉に言い換えてみましょう。
例えば、朝起きて夜眠るまでの間に、私たちのハツラツ度合って変わるような気がしませんか?寝起きの時ってぼーっとしてるし、やりがいを感じて何かをやっている時はキビキビ動けるし、お風呂に入るとリラックスするし・・・という感じで。
私はこのハツラツ度合が、トラウマセラピーで言う所の“覚醒度”に言い換えられるのではないかと思います。

私たちは平穏な日々の中でも、ゆっくり眠っている時のような低い覚醒度からガッツリ仕事を頑張っている時の高い覚醒度まで、振れ幅のある波のような覚醒度を描いています。この平常運転ができる範囲で覚醒度が保たれている状態を「耐性の窓の中にいる」と表現します。その範囲を高い方に突き抜けると過覚醒、低い方に突き抜けると低覚醒です。耐性の窓の中にいられれば冷静に対処できますし、ショックな出来事に遭っても大きな傷が残ることはありません。この窓が大きい人は打たれ強く、消耗しにくいのです。(この耐性の窓というモデルを提唱したのはダン・シーゲルです。ただし、今は広義に使われていますが本来は前頭葉の働きについて示されたものです。)

覚醒度に限らず、感情や体温や心拍や血糖値や概日リズムや呼吸や瞳孔や気管支やホルモン分泌や身体の重心や筋肉の緊張など、私たちの心身は揺らぎながら相関しあい、調節されています。上がったら下がる、ふくらんだらしぼむ、右へ傾いだら左へ揺らぐ、これが自然で健康的なリズムです。この揺らぎを調節する力が落ちてしまった状態がトラウマです。

耐性の窓は信頼できる人や自分の気持ちを尊重してくれる人と時間を共にすることで大きくなると言われています。ですので、子どもの頃につらい経験が多かった方は窓を大きく成長させ切れていないことがあります。でも、耐性の窓を育てる鍵は関係性なのですから、大人になってからでも大きく育てていくことはできます。

また、いきなり社会的な関係性に踏み出すのはハードルが高いですが、呼吸法やマインドフルネスを取り入れるなどして、意図的に覚醒度の起伏をなだらかにする練習をすると、伴って感情など他の波も穏やかになってきます。

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