トラウマについてNo.5 トラウマになる出来事②

トラウマについて

前回の続きを書きますね。

大切なことは、この例では、身近に理解を示してくれるお友達や通行人がいたことです。もしこの時、通行人の中にあなたを笑う人がいたらどうでしょう?お友達が「大丈夫そうじゃない、平気でしょ?」とあなたの感じていることを無視したとしたらどうでしょう?

トラウマは恥の感情と結びつきやすいという特徴があります。ですので、恥ずかしい→隠す→孤立する→適切な助けを得られない→症状が悪化する、という負の連鎖に陥りがちなんですね。今回の例でも、あなたは当初、心や身体の痛みを手当てすることよりも、その場を一刻も早く立ち去って何事もなかったかのように振る舞おうとしています。

ふだんから自分の感じることよりも他人の要求のほうに敏感に反応するタイプの人は、いざ重大な出来事に遭遇した時にも自分の要求を無視してしまって後々トラウマとなって影響してきてしまうこともあるのです。

今回の例では、最終的にあなたはお友達に助けを求めることができました。それはあなたに勇気があったことと、普段からお友達との間に信頼関係ができていたからでしょう。こんな風にトラウマ症状を残さないように守ってくれる資源のことを【リソース】と呼びます。リソースの種類や数が豊富な人ほど、トラウマ症状から距離を置くことができます。

今回のコラムを通して、どんなトラウマであっても人災の要素が含まれるのだということがご想像いただけたのではないでしょうか。

困難な状況にある人に傘を差しかけるだけで、あなたはその人のショックを減らすことができます。あなたが今困難の真っただ中にいたとしても、リソースのバリアを少しずつ少しずつ厚くしていければ、今よりも健やかになっていけます。 時間はかかるかもしれませんが、方法はありますから、どうか助けを求めることを諦めないでくださいね。

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